TV受像器を持たない筆者ですが、NHKのWEBニュースはチェックしています。
先日NHKのWEB特集で気になる取材がありましたので、ご紹介します。
急増する「中年フリーター」
いま、中年のフリーターが急増しています。
35歳から54歳までの非正規労働者は、この15年間で2.5倍に増え、273万人に上っています。この中には、正社員になりたくてもなれず、アルバイトを転々とするなど不本意な形で働いている人も少なくありません。こうした「中年フリーター」とも呼ばれる人たちが高齢化する近い将来、社会的な負担が増えることも懸念されています。
(NHK NEWSWEB:社会部・津武圭介記者、松尾恵輔記者 2015年12月7日)
この記事の内容をかいつまんで説明します。
総務省の調査では、35歳から54歳までの非正規労働者の数は、2015年で273万人と15年で2.5倍にまで増えています。
行政も何もしていないわけではありません。
東京都ではビジネスマナー講座を実施したり、みずから考えて表現する能力を高めるため、新聞を読んで意見を出させるなどのプログラムに取り組んでいます。指示待ちや受け身の姿勢を直していこうというわけです。
また、一ヶ月分の給与は東京都が負担するお試し正社員制度で、中年の採用に及び腰の企業に、積極的に採用を促すなどしています。(記事の要約ここまで)
□誰もが笑顔で働ければ、いいのだが・・・。
ところが一方では、日本国内はいまや慢性的な労働力不足と言われています。先日も経団連が外国人労働者の受け入れを提言していました。
経団連 人手不足対応に外国人受け入れ拡大を
経団連の榊原会長は7日、加藤一億総活躍担当大臣と東京都内で会談し、介護や建設業界で深刻化している人手不足に対応するには外国人の活用が重要だとして、受け入れの拡大に必要な法改正などを要望しました。
(NHK BUSINESSニュース 2015年12月7日)
筆者が疑問に思うに、国内に有り余る日本人労働者がありながら、なぜ経団連からこのような要望が出るのでしょうか。
バブルの崩壊以降、企業は長年守られてきた終身雇用、年功序列のルールをなし崩しに取り去ってきました。業績不振や株主対策の名目で、余剰となった労働者を徐々に削減するようになりました。たとえ労働需要が発生しても、正社員を増やすのではなく派遣に労働力を求めるなど、人件費をぎりぎりまで削減することが当たり前の風潮です。
経団連が外国人労働者を求める本当の理由は、さらに安い労働力を求めていることの現れのようにも見えてきます。
一方で、採用面では若年層、新卒へのこだわりを捨てようとしない企業姿勢が、雇用されない中高年層を大量に生み出した背景と言えるのではないでしょうか。
もちろん、労働者のやる気の問題、雇用のミスマッチなど、労働者側の問題もあります。しかし、不安定な職業に就かざるをえない人が273万人もいる現状を放置したままでは、日本社会の不安定化にもつながりかねません。
労働力を安易に外国に求める前に、企業も国も中年フリーターに手を差しのばす方法を考えるべきでしょう。(水)
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