世の中はネット社会。いまの子供たちにとって、ネットの中で遊ぶのは当たり前。アプリのダウンロードと同様に、ためらいもなくウイルスを手に入れ、転売してしまいます。
身代金型ウイルス 14歳少女に販売か 中2再逮捕
札幌市の中学二年の少年(14)がインターネットバンキングの不正送金に使われるウイルス「ゼウス」を保管したとして逮捕された事件で、この少年が身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」を名古屋市の中学二年の少女(14)に販売した上で、少女のパソコンに遠隔操作ウイルスを感染させた疑いのあることが、警視庁への取材で分かった。
サイバー犯罪対策課は二十四日、不正指令電磁的記録提供と供用の容疑で少年を再逮捕した。
再逮捕容疑では、少年は七~八月、無料通信アプリ「LINE」にウイルスを販売すると書き込み、これに応じた少女にランサムウエアを三千円で販売してダウンロードさせ、さらに少女のパソコンに遠隔操作ウイルスを感染させたとされる。同課によると、「遠隔操作ウイルスを試したかった」と容疑を認めている。
(中略)
少年は闇サイトでウイルスを入手していたとみられ、「小学校高学年から興味を持ち、独学で勉強した」と供述している。
(東京新聞・社会 2015年11月24日)
14歳の天才ハッカー登場かと思われましたが、そうではなさそうです。
筆者が類推するに、この少年にできたことは、ウイルスのアップロード、ネットでのお金のやりとり、遠隔操作などの単純な操作。これだけです。音楽やアニメを違法アップロードする輩(やから)とさほど変わりません。
この程度の知識なら、ネットを巡回すればいくらでも手に入ります。感染覚悟で闇サイトに行けば、ウイルスとその使い方は容易に入手できます。書いてある通りに操作するだけなので、小学生でもできるでしょう。
類似の犯行は、今後も年齢に関係なく起きる可能性があります。来年には、ハッカーを捕まえてみたら小学生だった、という事態も覚悟しておいた方がいいでしょう。
いまの大人たちは、実社会の試練を受けた後で、ネット社会を迎えました。リアルな社会にもまれた経験から、バーチャル社会でもリアルのルールを当てはめて、うまくいっているようです。
ところが、今の子供たちはものごころがつくと同時に、いやおうなしにネット社会にデビューさせられています。子守りの相手として、または早期教育やIT教育の名目で。
そうした子供がネット犯罪を犯すと、大人たちはこう言います。
「そんな行為は、当然ルール違反だ」
「モラルがないのか」
「善悪の判断がつきそうなものだが」
バーチャル社会だけで育った子供たちに、リアル社会のルールも、モラルも、善悪も身についているはずがありません。
今回の事件が教えてくれたこと。それは小中学校の義務教育の場で、ネット社会でどうふるまうのか、ネットモラルをどうやって培うのか、危険なことは何か、を時間をかけて教える必要があることでしょう。
いまの学校教育に、果たしてその人材や教材が備わっているのか。なければ、いずれ私たちは、子供たちから途方もないしっぺ返しを受けるでしょう。(水)
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