先日行われたミャンマー総選挙で、スーチー氏率いる野党の圧勝で話題になったミャンマーですが、明日あさっての二日間、東京・港区の増上寺にて「ミャンマー祭り2015」が開催されます。
「ミャンマー祭り2015 ご案内」
11月28日(土) 10:00~18:00
11月29日(日) 10:00~16:00
入場無料 雨天決行
今年で3回目となるこのイベント、タイフェスティバルに比べると、認知度も低くささやかな規模であることは否めません。しかし、日本ではミャンマーの料理や文化に触れる機会はめったにないでしょう。
エスニック料理好きの方にとって、年に一度の「ミャンマー祭り」は外せない催しといえます。
筆者はまだミャンマーを訪れたことはありません。軍事政権だったり、ビザが必要だったり、数百ドルの強制両替があったりなど、かつてのミャンマーは入国に高いハードルがあり、ついつい他の国に足が向いていました。
残念ながら、ミャンマーに縁のなかった筆者ですが、以前、高田馬場(たかだのばば)にある専門学校でゲームCGの講師をしていました。その頃、少しだけミャンマー(ビルマ)の方と触れ合う機会がありました。
東京・新宿の少し北にある高田馬場は、別名リトルヤンゴンとも呼ばれ、在日ミャンマー人の方々が数多くすむ場所です。たぶん今もそうでしょう。
東京のリトル・ヤンゴン、高田馬場
民主化への弾圧を逃れた難民が起業家として活躍
(日経ビジネス ONLINE・藤巻 秀樹 2012年6月20日掲出)
街のあちこちにミャンマー料理店が点在、お昼休みになると筆者はしばしばミャンマー料理に舌鼓を打っていました。腰のない細麺や激辛サラダ、虫料理(蒸し料理ではありません)、いかにも素人の手作りっぽい店構えなどが気に入っていました。
ある店では店長もコックさんもタイ語を話せるので、筆者のつたないタイ語で味付けのアレンジをお願いできるのもうれしい発見でした。
そんなある日、いつものように腰のない細麺をすすっていた筆者に、隣にいたグループが声をかけてきました。
何を言っているかさっぱりわからないので、店長が通訳してくれました。彼らは筆者を同胞だと思って声をかけたようです。タイ人から見ると筆者はラオス人、ラオス人からはベトナム人、香港やベトナムでは地元のおっさんにしか見えないとよく言われるので、人違いは良しとしましょう。
彼らが言うに、文書を受け取ったが、日本語が読めないので翻訳してくれ、と。どれどれと文書を受け取ってみると、差出人は日本の入管関係のようです。そしてその内容は---。
ミャンマー人と思われるグループは、筆者を笑顔で見つめています。どうやら筆者は同胞によく似た親切な人と思われているようです。もう一度、文書を読み直します。当たり前ですが文書の内容は変わりません。
笑顔と文面を交互に見直す筆者。筆者をじっと見つめるミャンマー人の皆さん。彼らは何が書いてあるんだろうと、胸をわくわくさせて待っています。
時には人の笑顔が肌に痛いことを、初めて知りました。
筆者には内容を伝える勇気が、絶望的に不足しています。
生きているのか、死んでいるのか。竹虫でしょうか、足もとにはだれかが食べたときに落とした白い虫がころがっています。心の中は床に倒れた虫になった気分です。
腰のない細麺は、スープを吸ってさらに腰がなくなっていきます。筆者の腰も、腰くだけにひけてきました。
これ以上待たせては、怪しまれる。いや、細麺のスープが冷めてしまうではないか。そもそも自分は何をしにこの店に来たのか。
重すぎる内容をどうやって婉曲に伝えようか。英語、タイ語、日本語、昔習った中国語までもが頭の中でぐるぐると回り続けるばかりです。
その内容とは・・・。
○○(名前)は、日本での滞在期限を迎えた。これ以上の滞在を許可しない。
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そのときのお店も今回の「ミャンマー祭り2015」に出店しています。ぜひ足をお運びください。(水)
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