ブルーベリーと言えば、アントシアニンが目の細胞に作用して、目の疲れを取り去り、視力が落ちない、視力がアップする、暗闇でも目が利くなどと言われています。それを売りにしている健康食品もあるほどです。
筆者はPCでスクリプトを組んだり、解説書などを執筆するときは、ブルーベリーの大袋を冷凍庫に放り込んでおいて、意識的に摂るように心がけていました。大切な目を、疲れから守るためには必要な出費だと思っていたからです。
ところが、ブルーベリーが目にいいという効能は、どうやら眉唾ものだという記事を目にしました。
検証!都市伝説「ブルーベリー=目に良い」は、こうして生まれた
ブルーベリーの果実などに含まれ、「目にいい」と言われるアントシアニン。抽出された成分には一定の作用が期待できるケースもある。ただし、その対象は一般にイメージされている「目」に対する効果ではない。
(中略)
ちなみにここからは余談になるが、そもそもビルベリーやブルーベリーが「目にいい」という説が浮上したのは、第二次大戦中にビルベリージャムをよく食べていたイギリス人パイロットが薄明かりのなかでも物がはっきり見えたという逸話によると言われている。ビルベリーやブルーベリーの研究者からもこの話はしばしば持ちだされるが、実はこの話自体の真偽が非常に微妙......というか、都市伝説だった可能性が高いという。
ドイツ空軍との空戦では連戦連勝。当時のイギリスでは。その原動力として「暗視能力の高さ」が挙げられた。そして「毎日、ニンジンを食べていたから暗視能力が高かった」とPRされたという。ん? ニンジン......? そう。ビルベリーでもブルーベリーでもなく、元ネタはニンジンだったのだ。
イギリスの新聞『テレグラフ』の電子版でもやはり「Carrots」と報じられているが、よくよく読むとこのエピソードすら捏造なのだという。
(ハーバー・ビジネス・オンライン 文/松浦達也 2015年11月2日)
確かに、ネコの目のカニンガム(Cat's Eyes Cunningham)で調べると、イギリス情報部が流したねつ造話にたどりつきます。
イギリスは第二次大戦中、モスキート爆撃機に搭載した新型レーダーの存在を、ドイツに知られたくなかったようです。そのため引用の記事にあるように、ニンジンに含まれるアントシアニンの働きで、パイロットの夜目が効くようになった、ともっともらしいつくり話を流したのが真相のようです。
なぜか日本では、アントシアニンつながりで、ニンジンからブルーベリーへとすり替えられて、現在も多くの人に信じられています。
そうとは知らない筆者でしたが、数年前にブルーベリーを毎朝食べて、3ヶ月足らずで200カット近い図解イラストを描き起こしましたから、良しとしましょう。
もちろん、これからもブルーベリーは食べ続けますよ。目にいいと昔から言われてますからね。(水)
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■関連リンク
○ネコの目のカニンガム(Wikipedia :ジョン・カニンガム )
○モスキート爆撃機:(Wikipedia :デ・ハビランド モスキート)
機体が木で作られた大戦中唯一の木製飛行機。イギリス-ドイツ間の往復ができる足の長さと660km/hの高速性能を生かして、偵察やピンポイント爆撃など、ヨーロッパ大陸で縦横無尽の活躍を誇りました。
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