地上波番組の無料配信サービス「TVer(ティーバ)」が、10月26日から本格スタートしました。
「TVer」のサイト(https://tver.jp/)にアクセスすれば、民放5社のいくつかの地上波番組を本放送後一週間に限り、無料で視聴できるというものです。
民放5社による無料見逃し配信「TVer」が26日スタート
在京民放キー局5社が共同で立ち上げた、テレビ番組の広告付き無料配信サービス「TVer(ティーバー)」が10月26日にスタートした。
日本テレビ放送網、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビジョンの5社が共同で立ち上げた見逃し配信(キャッチアップ)サービス。運営はドガッチなどを手がける株式会社プレゼントキャスト。各社が10番組/週程度の最新コンテンツを、放送終了後から次回放送までの一週間程度無料で配信するキャッチアップ(見逃し配信)サービスと位置づけられている。
(AV Watch 2015年10月26日掲出)
この「TVer」というサービスですが、テレビ局がしかたなくやっていた今までの配信サービスよりいくらか改善されました。
各局バラバラにやっていたものをひとつにまとめたこと。視聴環境が広がったこと。コマーシャル付き番組提供にして広告ビジネスへの足がかりとなること。
課題としては、「見逃し」たテレビ視聴者へのサービスとうたいながら、なぜか肝心のテレビでは見ることができないこと、があげられます。
なぜテレビで「見逃し」たはずの番組を、テレビで見ることができないのでしょう。ネットで見てねと言われても、子供やお年寄りは、視聴環境を持たない人も多いでしょう。自己矛盾も甚だしいサービスなのは明らかです。そこには、テレビ局の苦しい胸の内が透けて見えます。
民放テレビ局は国から地上波の独占を許されている立場ですから、自ら種をまいた番組ネット配信が、育ちすぎることへの恐れがあると思われます。
ネットなら信頼性の高い視聴率がわかりますが、もし地上波よりも視聴者数が多かったりすると、テレビ局が地上波で高額の広告費を受け取る根拠がなくなります。仮にコマーシャルスポンサーがネット契約だけにしたいなどといいだすと、地上波のビジネスは一気に崩壊します。
これから販売されるテレビにはNetflixボタンがつくそうです。ネット配信だけの戦いになると、民放テレビ局は苦戦がしいられます。映像コンテンツビジネスはいずれネット内で競う時代になりますが、この及び腰を見る限り、民放にはまだその決心はついていません。
また、TVを持たない人もNHK以外の番組を視聴できるとアピールしてよいものか。「見逃し」対策という言葉には、NHKへの遠慮もありそうですね。
「TVer」のトップページを開いてみましたが、相変わらず芸人が椅子に座った番組ばかりです。せっかく始まった配信サービスですが、筆者が「TVer」を見ることはなさそうです。(水)
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■関連URL
TVer 公式サイト
https://tver.jp/
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