一遍上人(いっぺんしょうにん)は鎌倉時代に生きたお坊さんです。時宗の開祖であり、かたぐるしい説法をやめ、自らあみだした「踊り念仏」を通じて、民衆に仏教を広めました。鎌倉出禁(※1)で有名になった人でもあります。
踊り念仏は念仏をうたって踊るわけですから、今風に言い換えれば「ヒップホップ」ですね。
誤解を恐れずに言うと、一遍さんは知名度抜群の有名DJ、出会えた人は「お札」という無料の記念グッズまでもらえました。
お札のURLは「南無阿弥陀仏」♪、リンク先は「極楽浄土」です♪。
(チャチャ)
クリック必要なし♪。メアドもスマホもいらない♪。「南無阿弥陀仏」唱えるだけ♪。
(チャチャ)
これで爆発的な人気を集め、一遍DJの行く先々は黒山の人だかり。
あまりの人気ぶりを恐れた鎌倉幕府は、当時の首都、鎌倉への立ち入りを禁止したほどです。
民衆A:「一遍DJ、鎌倉出禁だってよ。」
民衆B:「DJ IPPEN、ぱねぇっす。」
といった所でしょうか。
その布教の様子を、同時代に活き活きと描いたのが、今回ご紹介する「一遍聖絵(いっぺんひじりえ)」です。
この「一遍聖絵」は国宝に指定されており、これまで一般の目に触れる機会はなかなかありませんでした。
今回、最初で最後とも言われる全巻公開が神奈川県で始まっています。
「一遍聖絵」12巻を一挙公開 藤沢の遊行寺で10日から
鎌倉時代の僧侶で、時宗を開いた一遍上人(一二三九~八九年)の生涯を描いた絵巻「一遍聖絵」(国宝)全十二巻が十日から、藤沢市にある時宗総本山の清浄光(しょうじょうこう)寺(遊行寺)の宝物館で公開される。合計の長さが約百三十メートルに及ぶ全巻同時公開は初めて。同館の遠山元浩館長は「一挙公開は最初で最後になる可能性がある。見てもらえば素晴らしさが分かる。一人でも多くの方に見てほしい」と力が入っている。 (吉岡潤)
(東京新聞TOKYO Web 2015年10月7日掲出)
「画像提供:東京国立博物館」
リンク先:http://www.tnm.jp/
『一遍上人伝絵巻 巻第七』では、大津や京都などで、一遍上人が肩車されてお札を配る様子が熱く描かれています。
「リンク先:国立博物館所蔵 e國寶」
【展示案内】
会場は会期途中から、三カ所に分かれています。開催期間にもご注意ください。
開催地:神奈川県内三カ所
神奈川県藤沢市・遊行寺宝物館
神奈川県横浜市中区・県立歴史博物館
神奈川県横浜市金沢区・県立金沢文庫
【展示詳細はこちら】
「国宝 一遍聖絵」
(リンク先:神奈川県立歴史博物館)
【会場はこちら】
第一会場 遊行寺宝物館
会期:2015年10月10日(土)~12月14日(日)
第二会場 神奈川県立歴史博物館
会期:2015年11月21日(土)~12月13日(日)
第三会場 県立金沢文庫
会期:2015年11月19日(木)~12月13日(日)
今を遡ること700年前、スマホもメールも必要なかった鎌倉時代、ヒップホップに幸せを求めた民衆の熱気を感じてみませんか。(水)
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※1 出禁(できん):出入り禁止の略語。迷惑行為や違法行為を行った人に、その店や施設への立ち入りを禁止すること。テレビ業界では番組やテレビ局でタレントが使われなくなることを指す。
例:NHK紅白歌合戦で出禁となったDJ OZMA。各局出禁といわれている江頭2:50。
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