みずみずしいうす緑色がひときわ目立つ本ワサビ。おろしたての生ワサビに鼻を近づけてしまい、鼻孔をツーンとかけ抜ける刺激に、思いがけず涙を浮かべた人も多いことでしょう。
最新の研究によって、この刺激成分は日本のワサビだけが持つことが明らかになりました。
ワサビは日本固有種 岐阜大山根助教、辛味の進化解明
ツンと鼻に抜ける辛味が特徴で、刺身やそばなどの薬味にされるワサビが日本の固有種であり、辛味は国内で独自に進化した産物であることが、岐阜大応用生物科学部の山根京子助教(43)=植物遺伝育種学=の研究で明らかになった。成果の論文が園芸学会の英文学術誌に掲載された。
(岐阜新聞Web 2015年8月29日)
中国四川省やタイなど、辛い料理を食べ慣れた異国の人でさえ、ワサビを口にすると、皆一様にむせたり涙を浮かべたりします。唐辛子の粉で真っ赤な料理をおいしそうに食べる人たちがなぜ、ワサビの辛みに耐えられないのか。不思議でした。
どうやら、唐辛子などの辛みは舌を刺激してしびれさせるのですが、ワサビの辛さは鼻孔に突き刺さる異次元の痛みだからのようです。
東京駅八重洲北口を東に進むと、その昔、魚河岸で栄えたお江戸・日本橋です。この界隈には昔ながらの立ち食い形式のにぎり寿司店があります。とある店のお品書きに載せてあるのが、自家製葉ワサビずしです。
事情を知らない客が頼むと、寿司職人は「気をつけてくださいよ」とやさしく言葉を添えて出してくれます。
常連客は何も言いません。が、皆ニヤニヤしています。これから起きることを知っていて、誰もが内心ワクワクしているのです。
葉ワサビずしをパクリと食べた瞬間、何が起きるのか。
ウッとうなったまましゃがみ込む人、職人に向けて噴き出す人、おしぼりに顔を埋めたまま動かなくなる人、慌てて飲んだお茶ごとカウンターにぶちまける人・・・。
職人渾身の仕込みに、まさに十人十色。
筆者もこの店でいろんなシーンを見てきましたが、葉ワサビの辛さ、恐ろしさを堪能、いえ思い知ることができました。
日本橋にお越しの際は、ぜひ葉ワサビずしをご賞味ください。(水)
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