今日、9月1日は「防災の日」です。全国各地の学校や公共施設、企業でも何らかの防災訓練が行われていることと思います。
筆者はある航空会社の訓練部門に勤めた経験があるので、防災や訓練と聞くと、ついつい反応してしまいます。
今日はその職場で身につけた習慣をご披露します。
それは「指さし確認」です。通学や通勤に鉄道機関を使っている方は、駅員さんが指さし確認している姿を日頃から見ていることと思います。
この指さし確認ですが、なぜ義務教育で教えないのでしょうか。災害の多い日本でこそ、しっかりと覚えた方が良いと思います。
【指さし確認の手順】
1.確認する対象物(信号、スイッチ、レバーなど)の近くで正対します。遠くにある場合でも、確実に目で確認できる位置に立ちます。
2.対象物を人差し指で指し示します。
3.目で対象物の状態(青点灯、閉状態、開放など)を見ます。
4.一呼吸置いて、見えた状態を声に出して、確認します。
自分にも周囲にいる人にも聞こえるようにはっきりと言います。
5.発声と同時に指を1度、2度と前後に振ります。
(例:信号あお、スイッチ閉、レバー開放、など)
6.対象物の状態を責任者に報告する、または記録を残します。
【なぜ指さし確認が必要か】
スイッチやレバーの状態を、目だけで確認することは、実はとても危険なことです。
毎日同じものを確認していると、今日も「青だろう、レバーはいつも同じ状態だろう」と思いこんでしまうのが人間です。
見ているようで見ていない状態になってしまうのです。現実の信号が赤であろうと、レバーやスイッチが異常であろうと、昨日と同じ「安全な状態」にしか見えなくなるのです。
ローマ帝国時代に生きたカエサル(ジュリアス・シーザー)も、二千年前に言っています。
「人は自分の見たいものしか見ない」
何も起きていない日常だからこそ生まれる、馴れや思い込みを、この指さし確認でぬぐい去りましょう。
最後に、ヒューマンエラーが引き起こした有名な航空事故をご紹介します。たった一個のランプ故障から、百人以上の犠牲者を出す墜落に至った、ありえない事故でした。(水)
「イースタン航空401便墜落事故」
概要
イースタン航空のロッキード L-1011 トライスターが、乗員の不適切な行動によりマイアミ国際空港付近にあるエバーグレーズ国立公園の湿地帯に墜落、全176名(乗客163名、乗員13名)中103名が死亡。史上初のワイドボディ機の全損事故であり、ヒューマンエラーによる事故の代表例として有名。着陸に備え車輪を出すが前輪が出たのを示すランプが点灯せず、自動操縦で空港付近を旋回。ランプ/前輪の問題に対応する間、意図せず機長が操縦桿に触れたため自動操縦が解除。高度低下に気づかないまま沼地に墜落した。
(引用元:「イースタン航空401便墜落事故」2015年7月7日 ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典 https://ja.wikipedia.org/wiki/ より)
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