小説家、阿川弘之氏が3日、老衰のため亡くなりました。
作家の阿川弘之氏が死去 文化勲章受章者、正論執筆メンバー
小説「雲の墓標」や評伝「山本五十六」など数々の戦争文学で知られる作家で、文化勲章受章者の阿川弘之(あがわ・ひろゆき)氏が3日、老衰のため死去した。94歳。葬儀・告別式は近親者で行う。後日、しのぶ会を開く。
(産経ニュース 2015年8月6日)
阿川弘之氏の代表作には、「米内光政」、「雲の墓標」などがあげられますが、筆者の一押しはやはり、「軍艦長門の生涯」です。戦艦長門は、完成した1920年から大和にその座を譲る1942年までの22年間、連合艦隊の旗艦を勤めました。
「軍艦長門の生涯」のすばらしさは、旗艦である戦艦長門がどのような役割を担っていて、どのように運用されたかが、克明に記されているからです。
停泊地ではこまめに民間人の訪問を受け付けています。関東大震災では訓練地の朝鮮半島から、全速力で駆けつけています。戦前の日本軍というと、恐ろしいイメージばかり流布していますが、長門の船上では民間人との交流も盛んでした。また、昭和天皇のお気に入りの艦でもあったようです。
このコラムでも以前ご紹介しています。
[028]大和が沈んだ4月7日に考える旗艦の役割とは
長門の最期は、アメリカ軍の原爆実験の標的艦として終わりました。奇しくも、8月6日の今日は広島原爆投下の日です。阿川弘之氏は広島市出身、長門と同い年、出身地も同じだったことが氏の自慢でした。合掌。(水)
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