かつて、江戸前という言葉がありました。江戸前寿司、江戸前の穴子、江戸前の佃煮、アサリ、キス、タコ。数え上げればキリがない位に出てきますが、現物にお目にかかることはめったに、いやまずありませんでした。
それもこれも、東京の海が汚れきってしまったからです。戦後、東京湾はその浄水能力を上回る汚水が一気に流れ込み、再生は無理とまで言われた時期もありました。
そんな東京湾に江戸前ビーチが復活しそうです。
都心に半世紀ぶりビーチ、「顔つけ」も解禁
東京都心で半世紀ぶりに海水浴場復活へ――。
東京都は18日から、葛西海浜公園(江戸川区)で試験的に海水浴場をオープンし、需要や安全性を確認する社会実験を開始する。同公園では、地元NPOが2012年から「海水に顔をつけない」などの条件で都の許可を受け、海水浴の体験イベントを開いてきたが、今回は「顔つけ」も解禁となる。
(「ヨミウリ・オンライン 社会」 2015年7月14日掲出)
千葉、東京、神奈川と一都二県に広がる東京湾は瀬戸内海を除けば、日本一大きな内海ではないでしょうか。20年ほど前から、神奈川の某所に潮干狩りにでかけていた筆者は、東京湾の生態系が復活しつつあることは、うすうす感じてはいました。もちろん、アサリを食べることは自己責任と脅されるような時代でした。
ところが、アサリ汁にすると、開いた殻からはじけ飛ぶほどプリプリとした身がつまった、みごとなアサリでした。こんな立派なアサリを食べて、貝塚を築き上げた古代人をうらやましく思っていました。
この広大な内海が豊かな漁場として復活すれば、いつの日か本物の江戸前寿司に舌鼓を打てる日も・・・、近いかも。(水)
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