Windows 10へのアップグレードを来月7月29日に控えていますが、Officeについても「Office 2016」として年内にも登場するようです。
Office 2016のプレビュー版に新機能、リアルタイム共同作業を強化
米Microsoftは現地時間2015年6月4日、Windowsデスクトップ用の次期Officeのプレビュー版「Office 2016 Preview」に新機能を追加したことを公式ブログ記事で発表した。Word 2016を使って複数のユーザーが文書を同時に編集する時のコラボレーションを支援する新機能「Real Time Presence」を搭載した。
(引用元:日経BP社・COMPUTERWORLD/Software)
「Office 2016」の正式な発売日はまだ発表されていませんが、Windows 10のアップグレード開始からそう遅くはならない時期、今年2015年の秋にもリリースされると同記事では伝えています。
今回の日本年金機構の情報流出事件を知るにつけ、こうしたアプリケーションの機能拡大・ネット仕様に偏重する傾向には歓迎するよりも、疑問符もつくようになりました。
写真は、Office 2013。インターネット接続のダウンロードインストール方式を採用。
インストールディスクはない。
「Office 2016」ではネットワーク上にあるWORD文書に入力しているところを他の人がリアルタイムに見ることができるそうです。また、ワンクリックでネットワーク上に文書を公開できるとも。
おそらくネットワーク管理に長け、セキュリティ対策もばっちり、世界各地のスタッフと頻繁に文書をやりとりしているというPC熟練者にはいい機能かもしれません。
しかし、誰もがワールドワイドな業務をしている訳ではありません。市町村単位の住民のみを相手にした役所や法人はいくらでも在します。限定された地域でのサービスを担う職員や社員に今回の「Office 2016」がふさわしいアプリといえるでしょうか。文書を作成している様子を公開する必要はあるのか、少し考えさせてください、と言いたくなります。
極論かもしれませんが、そもそも小規模な組織でスタッフ全員にメールアドレスやインターネット環境が本当に必要なのでしょうか。メールアドレスを持つことに異論はありませんが、全員が各自のPCから数分おきにメールチェックする必要はあるのでしょうか。たとえば、その地域の住民はメールでの問い合わせが多いのでしょうか。そうでない場合、またスタッフに対して完璧なセキュリティ教育に自信がない場合、インターネットに依存しない方法で業務を遂行できないか、社内LANをいったん外部からオフラインにして再検討する時期に差しかかっているのではないでしょうか。
ネット環境はインフラ化していて外せないという管理者は、IEなどブラウザから業務に無関係な外部サイトへのアクセスが就業時間内の何パーセントを占めているのか、組織内を定期的に調べているでしょうか。また、貸与しているはずのPCにゲームや私的コミュニケーションツールなどが無断でインストールされていないか、またインストールできない状態が維持されているかチェックしているでしょうか。業務の効率化を進めた結果、業務によっては重要な秘匿性や個人情報までも犠牲にしていないか、もう一度見直してみてはどうでしょう。
流行に遅れまいと五月雨式に進んだIT化は、インターネット常時接続を常態化させましたが、それが知らぬ間に情報を抜かれるパイプにもなっていることがはっきりしました。PCは手放せなくともネットワークのオフライン化は検討する価値がありそうです。
年金情報流出事件をきっかけに、私たち全員が安易なIT化を考え直す契機だと思います。(水)
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