昔むかし、フランスに撮影の仕事に行ったとき、旅程の都合で少しの間、ニースに滞在することになりました。
季節は夏。市場をあてもなく歩き回っているとおかず横丁があり、そこに一軒の揚げ物やさんを見つけました。
花ズッキーニのフリットとの初めての出会いでした。
ズッキーニ本体は食べたことはありましたが、花が食べられるとは初耳でした。
口に入れるとサクッとした食感のあと、花の空洞に残った熱々の空気が口の中でシュウと抜けていく、まことにあっけない食べ心地。材料は実(み)にならない雄花で、詰め物などいっさい入らないシンプルさが売りのようです。
あの雑踏の中で立ち食いしたフリットは、確かにジューシーでおいしいのですが、空気を買って食べているようで、「ちょっと内気なフランス人青年」といった感じの頼りないやつでした。だからでしょうか、値段も一個数十円だった気がします。
日本の食べものにたとえるなら、下町の肉屋が作ってるうすーいハムかつか肉なしコロッケ。その程度の食べ物と理解してました。
ところが「花ズッキーニのフリット」で検索すると、日本のレストランでは挽肉やチーズなどの詰め物をした高級料理のようです。おいおい、お前、日本に来たらやけに出世したな、とからかいたくもなります。
ひさしぶりにあのおもしろい食感を味わいたくなり、庭の片隅にズッキーニの種をまいたところ、ようやく花芽がつきました。
【作り方】
1.ズッキーニの花を用意する
(ズッキーニ農家に雄花を分けてもらう)
2.花の内側を掃除する
(アリや虫が入っています)
3.天ぷら粉をつけて揚げる
高級な作り方は・・・わかりません。(水)
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