PC、TVと同じ道を歩む「日の丸スマホ」、
日本メーカー"完全撤退"の危機...「アップル」と「中国」に挟まれ
"日の丸スマホ"が、おひざ元の国内市場で海外勢に押されて苦戦している。平成26年の国内のスマホ出荷台数シェアは、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」が6割近くまで上昇、韓国サムスン電子と合わせると、6割強を海外勢が占める。
(中略)
スマホ登場前は、国内の携帯電話の9割以上が日本製で、当時は通信事業者専用仕様で設計された"ガラパゴスケータイ"が中心だった。ガラケーは、世界に先駆け、インターネット接続やワンセグ視聴、おサイフケータイなど内蔵、日本の技術力を内外に示した。
(引用:産経デジタル【経済インサイド】2015年4月27日)
ガラケーは落日どころか、とっくに終了の鐘が鳴り終わってます。2017年以降、国内の携帯端末メーカーはガラケーの生産を終了するとの発表もありました。
ガラケーとはガラパゴス・ケータイの略。日本独自の規格とOS(※1)で発展したケータイは世界の潮流とは全く異なる携帯電話となり、まるでガラパゴス島だけに生息する動植物にたとえて、ガラパゴスケータイ、略してガラケーと呼ばれるようになりました。
ガラケーには苦労させられた記憶しかありません。いっときはトヨタを抜いたと騒がれたことさえあったあのd社(※2)全盛の頃、ケータイ専用のd社公式サイト集なるものがあり、d社のお墨付きをいただかなければ、どんな一流企業であろうと公式サイト集には登録してもらえませんでした。登録されなければ非公式サイトとなり、ケータイ検索にはひっかかりもせず、したがって誰も見に来てくれないという最悪の事態に。これに目をつけた広告代理店やマーケティング会社は、公式サイト集に入る方法をあれこれと企業にコンサルティングするだけで、けっこうなお金を稼いでいました。
(ケータイに必須のアンテナは、なぜかポケベルにはなかった。)
公式サイト集では国内各社のケータイで正しく表示されるかチェックすることも、ガラケーを産んだ親心でしょうか、d社はやっていました。ところがケータイの機種ごとにWeb表示が微妙に違っていて、結局各社ケータイごと、ブラウザごとにいくつものWebデータを作らされる羽目に。そのバリエーションをいちはやく作れる制作会社が幅をきかせていたという、ただの力業が自慢になる、とにかく変な時代でした。
PCの検索エンジンとケータイのそれは異なるから、サーチエンジン対策はケータイ専用も考えましょうなどとコンサルする輩もいて、電話かけホーダイどころか、コンサル料の取り放題。ITビジネスのいかがわしさ全開でした。
インターネットのオープンな精神の真逆を進む、まさに残され島の恐竜を思わせる、ガラパゴスな繁栄を日本のケータイは謳歌していたのです。
その辺りの事情は、過去に筆者が取材をして本にまとめたものがあります(『仕掛けるモバイル広告』アスキー・メディアワークス刊)。ただし、今読んでも得られるものは、ガラパゴス島の観光ガイドブックより少ないと思いますが。
とっととこんな時代が終わればいいのに、誰かケータイ全部まとめて捨ててくれないかと、オブジェクト指向なプログラムを仕事としていた筆者は思っていました。だからスマホが出たときは心からうれしかった記憶があります。
ガラケーは終了してもまだ、ガラホがあるじゃないかの声。ガラホとは何か。見た目は二つ折り、ボタン操作というガラケーの外観ながら、OSはアンドロイドという、日本らしい折衷案で生まれたガラパゴス(スマート)フォン、略してガラホらしいです。
auのシャープ製「AQUOS K」などがこれにあたるようです。
生命の多様性が謳われる時代ですから、多様な種を維持することに異論はありません。ガラケーが名残惜しい方には、ガラホはいい選択かもしれませんね。
ただ、日本独自のガラホを取り込んだアンドロイドが、今度はガラパゴス化しないか、幾分かの心配は残ります。(水)
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※1:OS=Operating System(オペレーティング・システム):動作にかかわる基本ソフト。PCのWindowsなどと同じ。
※2:d社=iPhoneを一番最後に取り扱うことになったガラパゴスな通信会社の略称。
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